アートセラピーとは一般的に芸術療法全般を言います。
L'oiseauVertではユング系の研究者・中井久夫先生が1970年に箱庭療法をヒントに開発した描画療法の「風景構成法」(こころの風景画)をベースとして展開しています。
描画を通して潜在意識が伝えてくるメッセージを掴み、今の貴方の心身の状態を表現する方法として採用しています。
<アートセラピーとはなんでしょうか>
「人は本質的に芸術家」、「その人の生き方が芸術そのもの」という言葉があります。
とても素敵な言葉だと思います。
人は誰でもが「表現」することを特徴とした生き物であり、その「表現」しているものは「自分自身」に他なりません。
「自分自身」を表現し、この「表現できること・表現できたこと」に対する喜びを味わう事によって、人はどんどんエネルギーをチャージします。
芸能人は勿論ですが、みなさんの周りでもカラオケが好きな人や、ダンスをしている人等、趣味を楽しんでいる人はいきいきとしていませんか?
それは自分を表現し、気持ちが充実しているからに違いありません。
その反面、自分の気持ちを押し殺して生きていると、どんどんとエネルギーが枯渇し、見た目にも苦しそうに見えてきます。
以前の私自身がそうであり、前職ではいつでも、どこでも「苦しそう」と会う人ごとに言われてきました。なんで、みんなに「苦しそう」と言われるのか、不思議に思っていましたが、自分では「それほどでも…」と思っていても、それは知らないうちにエネルギーが枯渇していたんですね。
そんな自分の経験から、人にとって大切なことは「自分の感情=自分自身」を表現すること。
そして、それを味わうこと、わかちあうことです。でも、それってなかなか難しい…。
そこで手段として登場するのがアートです。
アートは「自分自身」を表現する有効な手段であり、絵を描くこと、歌を歌うこと、詩歌や文章を書くこと、演劇やダンスをすること、お料理すること、おしゃれすること等…これらはみんな「自分自身」を表現している「アート」です。
アートを通して「自分自身」を表現し、その表現された「自分自身」を味わうのがアートセラピーです。
「自分自身」を表現、それを味わうという過程を経て、表現者自身が気づき、自分の力で歩み出すことが、アートセラピーの特徴です。
<アートセラピーはどんなことをするのでしょうか>
「絵心無いんです、わたし…」、「昔から絵を描くのは苦手です」
たくさんの方が画用紙を前にためらわれます。
でも、大丈夫です。
一つずつ順番に山や川等を描いて頂き、最後に貴方の「こころの風景画」ができあがります。
繊細な観察眼や、色彩感覚のセンス等の卓越したテクニック等必要なものは全くありません。
特別なものを描いていただくこともありません。
描いて頂いた絵を描画者ご自身がどんな風に感じるのかをセラピストに伝えて頂きます。
<でも、アートセラピーを体験した…だけでは何も変わりません>
そうなんです。
アートセラピーを1回体験した…だけでは、結局のところ、何も変わりません。
「ふうん…。」だけで終わってしまう可能性がとても高いのです。
それを何とかしたいと思い、私自身もアートセラピーをさらに学び、努めてきましたが、学べば学ぶほどわかるのは「わからない」ということだけなのです。
セラピストとして、「わからないこと」がわかった…という感じです…。
ここでのセラピストは「見守り手」です。
分析結果を伝えることも、何か未来を指し示すことも致しません。
クライアントに質問されればお話できる範囲ではお話しますが、それも全てではありません。 もっと言ってしまえば、それが正解かどうかもはわかりません。
知識や経験でのお話は出来ますが、それがそのクライアントにあっているのかどうか…
大概の場合、人はそれぞれオリジナルなので当て嵌まらない…と考えるのが健全だと思います。
セラピストはクライアントのお話をうかがい、簡単な質問をすることで、クライアントに自分自身をより深く味わって頂くためのお手伝いをするために存在するものだと思っています。
「自分自身をより深く味わう」って言葉にすると簡単ですが、ひとりではとても難しいことでもあります。
なかなか自分の感じていることをわかる…というのは困難を極めます。
その証拠に「今感じていることを一言で言ってください」と言われたときに、そのたった一言を口にする困難さを多くの人が経験されているかと思います。
多くの人は「何かを説明」しようと試みますが、それは頭で考えたことで、感じていることではないのです。
そして、その「頭で考えたこと」は、往々にしてあなたの心の奥から沸き起こっているものではなかったりします。
たった一言「嬉しい」と言えればいいのに。
たった一言「悲しい」と言えればいいのに。
シンプルだから難しく、シンプルだからこそ人の心に届くのだと思います。
そんな言葉を口にすることが出来たら、人生が変わってくると思うのです。
だからこそ、自分自身を知る・感じるためにアートセラピーを体験して頂きたいと考えています。
自分自身を知る・感じることは今抱えている問題の答えが見つかる可能性を秘めています。
自分の答えは自分で見つける…それが、アートセラピーに臨んで頂くときの望ましい心のありようかと思います。
セラピストは答えを教えたり、未来を告げることも致しません。
劇的な変化や、この先の未来を教えて欲しい…と思われて来て下さった方には期待外れになるかもしれません。
それでもアートセラピーの回数を重ねるうちに、自分自身や環境、やりたいと思っていたことがいつの間にか出来るようになっていた…等、少しずつでも確実に変化していることを感じる日が来ると思っています。
私自身がその道を歩んでいます。
3年前とは違ってきた自分、5年前では思いもしなかった自分に気づきます。
アートセラピーを初めて体験した時、その時が「変容」へのスタートです。
まずは描いてみて下さい。
うまく描けることが大切なのではなく、何かを「描けた」ことがあなたの明日の扉を開きます。
INITIAL DRAWING 事始めの絵 その人の原点を表していると言われています。
私の始まりもこの1枚からでした。